2024年3月27日水曜日

例文10

『仏文和訳法』を読む(例文10

 

山田原実 著『仏文和訳法』,大学書林,1949. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1704262

を読んでいます。

 

 
(ハ)主語と動詞が転位する場合

の続きです。


注意動詞の接続法主として半過去又は大過去が主語と動詞が転位して挿入文として用いられた場合は「たとえ~とも」という意をもつ。

[例文10

Il y a bien des tribus où, si vous offriez de la monnaie, fût-elle d’or, cela ne leur dirait rien du tout.

 

[訳]そこでは諸君が貨幣を出しても、よしそれが金貨であっても、彼らに対してなんの用をもなさないような蛮人部落がたくさんあります。

 

 

 

〇単語補足

tribuf)部族、種族

 

fût-elle d’or の d’or は、de la monnaie d’or金貨不加算名詞として捉えられていますから来ています。

 

 

〇きょうの要点



[注意]動詞の接続法(主として半過去又は大過去)が主語と動詞が転位して挿入文として用いられた場合は「たとえ~とも」という意をもつ。

説明

fût-elle d’or について です。

 元の形は、si elle fût d’or です。

接続法半過去は条件法現在の価値を持ち(条件法現在第2形とも呼ばれる)、仮定的譲歩を表します。

動詞 fût être の半過去、三人称単数です。

 

・つまり、si + 条件法現在 =si + 接続法半過去=仮定的譲歩[たとえ~であっても]

si elle serait d’or si elle fût d’or  「たとえそれが金貨であっても」 とパラフレーズすることができます。

 

・そして si elle fût d’or で 譲歩を表す接続詞 si を使わなかったら、常に倒置されて、fût-elle d’or という形になります。

 

きょうは以上です。

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