『仏文和訳法』を読む(例文50)
山田原実 著『仏文和訳法』,大学書林,1949. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1704262
を読んでいます。
今日も非人称構文です。
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Tant s’en faut que~(接続法) それどころではない、とんでもない Tant s’en faut それどころではない |
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[例文50] La France produit trop! Et de quoi est-ce, s’il vous plaît, que la France produit trop? Serait-ce du vin? Oh! il y a, incontestablement, des Français qui en boivent trop. Mais, quand on donnerait leur part à ceux qui n’en boivent pas du tout, il s’en faudrait que tous en eussent en quantité suffisante pour alimenter une consommation raisonnable. On ne voit pas que, faute d’acquéreurs, les vignerons et les marchands soient réduits à vider leur(sic) tonneaux dans la rue.
[語句] Incontestablement確かに alimenterに糧食を与える、に必要なものを供給する raisonnable合理の、無茶ではない、無理ではない l’acquéreur 買子、買い手 le vigneron葡萄栽培者 être réduit à~ ~することを余儀なくせしめられる vider 空にする [訳] ブドウ酒のことですか。ああ、確かにフランス人の中にはブドウ酒を飲みすぎる者があります。しかし、もし全然ブドウ酒を飲まない人にもブドウ酒を分かち与えるとしたら、皆が、普通に消費するに足るだけを持っているということができないでしょう。吾人は葡萄栽培業者や商人が、買い手がないので余儀なくその持っている樽を往来にぶち撒くということを見かけません。 |
〇今日の要点
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Tant s’en faut que~(接続法) それどころではない、とんでもない、程遠い |
Mais, quand on donnerait leur part à ceux qui n’en boivent pas du tout, il s’en faudrait que tous en eussent en quantité suffisante pour alimenter une consommation raisonnable.
「しかしもし、ブドウ酒をまるでのんでいない人たちに、その人たちのためのブドウ酒の分け前を与えるとしたら、皆が、適量の消費をするために十分な量のブドウ酒を持つというのには程遠いでしょう」(『新しい仏文解釈法』(山田原実著、島田実増訂、大学書林,1963))
quand on donnerait(条件法現在) leur part à ceux...il s’en faudrait(条件法現在) que tous en eussent(接続法半過去)
その人たちに分け前を与えるとしたら、~には程遠いでしょう。
・まず、quand on donnerait(条件法現在)il s’en faudrait(条件法現在)
この部分は半現実の仮定の条件「もし~であったなら」の条件節(ここに半過去ではなく、条件法が用いられることがある)+それに基づく仮定の結論を述べる帰結節の主節、という構造になっています。
・queの後ろがどうして接続法半過去になっているかについては、
例文2のこの説明が当てはまります。
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〇« Faites aux autres
ce que vous voudriez qu’on vous fît » 『改訂版フランス語ハンドブック』(白水社)271頁によれば、従属節に接続法を要求する動詞において、 主節の動詞が条件法(この文の場合voudriez)で、 従属節が主節と同時または未来の事象を表す場合、従属節の動詞は接続法半過去に置かれる(fît)ことになっています。
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今日は以上です。
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