2024年6月21日金曜日

例文53

 

『仏文和訳法』を読む(例文53

 

山田原実 著『仏文和訳法』,大学書林,1949. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1704262

を読んでいます。

 

第一章 主語

2.仮定主語と本主語

(イ)仮定主語が非人称のIL である場合

前回までは↑のように、仮主語がIlである非人称構文を見てきました。

今日からは。Ce が主語の非人称構文です。

(ロ)仮定主語がCE である場合

 この場合においては仮定主語に続く動詞はêtre に限られ、常に C’est~の形式を以って現れ、次に文意上の主語、補語、属詞などを置いて、その主語、補語、属詞などを強調する。したがってこの形式の文を訳するに当たっては、常に必ずしも前項の仮定主語がil である場合の如くに本主語を前に立てて、「~のは……だ」の如く訳する必要がない。いやむしろ、普通文に直した翻訳をする方がよい場合があるのである。

 

 A. 本主語がque +名詞であることがある。この場合は、C’est の次に置かれている属詞を強調する。

[例文53

C’est une belle chose que le courage, le courage militaire aussi bien que les autres courages. Je dis aussi bien, et je ne dis pas davantage, parce que, à mon avis, le mérite est le même, partout où sont les mêmes le péril, la souffrance, l’effort sur soi-même, le sentiment du devoir.

[語句]

à mon avis 私の考えでは  le mérite 勲功、価値  péril 危険  la souffrance 苦痛   l’effort sur soi-même 我慢

[訳]

 勇気というものは立派なものである。軍事上の勇気もその他の勇気も同じ様に立派なものである。私は敢えて「同じ様に」と言って、「より以上に」とは言わない。なぜならば、私の考えでは、危険、苦痛、我慢、義務観念が同じであれば、その場合を問わず価値は同じものだからである。

◯今日の要点

C’est que+名詞  名詞)は~だ

 

[例文53]

C’est une belle chose que le courage.

 

もとの文は Le courage est une belle chose. です。この文の属詞にあたる une belle chose を強調すると C’est une belle chose que le courage. になります。

 

◯以下が蛇足ですので、飛ばしてくださってかまいません。

partout où sont les mêmes le péril, la souffrance, l’effort sur soi-même, le sentiment du devoir.

 

の部分は動詞が倒置されていますが、

partout où le péril, la souffrance, l’effort sur soi-même, le sentiment du devoir sont les mêmes. と書くと解りやすいです。

 

 

今日は以上です。

 

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