『仏文和訳法』を読む(例文52)
山田原実 著『仏文和訳法』,大学書林,1949. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1704262
を読んでいます。
今日も非人称構文です。
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Il n’est que de~ 「~するのが一番よろしい」 |
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[例文52] Le roman français nous montre l’empire de l’habitude, surtout en province où l’évolution matérielle et spirituelle est particulièrement lente. Il n’est que de lire Madame Bovary de Flaubert, Au pays de pierres d’Eugène le Roy, et tant d’autres livres qu’il faudrait citer. C’est bien, chez nous, dans nos âmes que le passé demeure vivant. [語句] l’empire 帝国、覇権、勢力 citer 引用する [訳] フランスの小説は、習慣の勢力の強いこと、特に、物質上においても精神的においても進歩が甚だしく遅い地方においてそうであることをわれわれに示している。それには、フロベールの『ボヴァリー夫人』、ウージェーヌ・ル・ロワの『砂礫の土地にて』、その他挙ぐべき多くの書があるが、そういうものを読むのが一番よい。我が国においては、我々の精神の中で過去が生きているのだ。
(注記)Il n’est que de+~(不定法)の形は古典的用法としては上記のように「~するのが一番よい」の意味に用いられていたが、現代では「~しさえすればよい」「~するしかない」というne ~ que…構文の普通の使い方も併せ用いるようになった。 ※[訳]と(注記)は、『新しい仏文解釈法』(山田原実著、島田実増訂、大学書林,1963)による。ただし、『ボヴァリー夫人』と<ウージェーヌ>は現在の慣例的表記に従い、小説名の括弧は『』にした。
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〇今日の要点
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Il n’est que de~不定法 「~するのが一番よろしい」 |
古い用法なので、『ロベール仏和辞典』にしか載っていませんでした。
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Il n'est que de+inf. [文章語] …しさえすればよい,するのがいちばん(=Il suffit de+inf., Il n'y a qu'à+inf.). Il n'est que d'entreprendre pour réussir. 成功するためには,まずやってみることだ. 『ロベール仏和大辞典』 |
今日は以上です。
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