『仏文和訳法』を読む(例文270)
山田原実先生 著『仏文和訳法』,大学書林,1949. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1704262
を読んでいます。
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第七章 相関語句 Plus~, plus… 「~すればするほどますます…」 [注意] この形式においては、一般にPlus が文頭に現れているけれど、まれに文中に置かれて plus~, plus…の対応語句を成している場合もあるから注意を要する。この形式は plus についてのみならず、moins についても適応されて、plus~, moins… ; Moins~, moins… ; Moins~, plus… などの諸形式に変形されて現れる。また、これに d’autant が加わって、D’autant plus~, d’autant plus…のごとき変態を成すこともある。 |
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[例文270] Moins une influence est grossière, plus elle agit d’une manière particulière. Et déjà l’influence du temps, celle des saisons, bien qu’agissant sur de grandes foules à la fois, agit sur elles de manière délicate et nerveuse, et provoque des réactions très diverses.
[語句] grossier 平凡な、共通な、粗雑な provoquer 刺激する、扇動する、惹起する
[訳] 影響が一般的でなければないだけ、それだけ特殊的に影響するものである。すでに天候の影響、季節の影響のごときものも、同時に多くのひとびとに影響するにかかわらず、鋭敏に、激しく影響を及ぼして、種々様々な反響を引き起こすものである。 |
〇補足
例文270はアンドレ・ジッドの講演De l’influence en littératureから引用されています。
https://fr.wikisource.org/wiki/De_l%E2%80%99influence_en_litt%C3%A9rature
『アンドレ・ジイド全集 第7巻』(建設社、昭和10年)から、引用部分とその前後の訳(小林秀雄訳)を書き出します。
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で、繰り返して申し上げるが或る影響が卑俗なものでなければないだけ特殊に働きかけて来るものです。天候とか季節とかの影響は、大多数の人に同時に働きかけるものですが、さういふものでもすでに非常に微妙な神経的な作用をするもので種々雑多な反応を惹き起こすものであります——暑さのために弱る人もあれば、亢奮する人もある。キイツは夏でなければ仕事がはかどらなかったが、シエレイは秋でないと駄目だった。又デイドロは「大風が吹くと狂気の様になる」と言ってゐます。こんな例はいくらでも上げる事が出来ますが……まあ話を進めませう。 https://dl.ndl.go.jp/pid/1244012/1/12
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〇今日の要点
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Moins~, plus… 「~が少ないほどますます…」 |
辞書で確認しておきましょう。
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◆moins A, plus B Aが少なければ少ないほどなおBが多い Moins vous fumez, (et) plus vous mangez.たばこを減らせばそれだけ食事も進みますよ 『ロワイヤル仏和中辞典』 |
今日は以上です。
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