『仏文和訳法』を読む(例文63)
山田原実 著『仏文和訳法』,大学書林,1949. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1704262
を読んでいます。
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第一章 主語 2.仮定主語と本主語 E. 本主語がde(またはque de)+不定法であることがある。 |
今日もEの続きです。
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C’est à~à不定法 「何々しなければならないのは~である」 |
前回にも書きましたが、『新しい仏文解釈法』(山田原実著、島田実増訂、大学書林,1963)では、本来は
C’est à vous à parler. 今度はあなたが話す番です。
C’est à vous de parler. 話すのはあなたの義務だ。
だが、2つの言い方は混同して用いられている、と説明しています。
[「本来は~」という説明の仕方はしていませんが、そのように読めます]
今回の「C’est à~à不定法」に付けられている訳文「何々しなければならないのは~である」は、「何々するのは~の番である」と「何々するのは~の義務である」の、どちらとも取れる訳文になっていますね。
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[例文63]
Le devoir de l'État est, avant tout, une fonction de sécurité envers tout le monde. Quant aux personnes auxquelles l'État garantit cette sécurité, elles peuvent faire de leurs propriétés ce que bon leur semble. L'État n'a pas à s'immiscer dans les combinaisons privées : c'est aux particuliers à gérer leurs affaires au mieux de leurs intérêts. [語句] avant tout何よりも先ず la fonction de sécurité保安の職責 la
propriété所有、所有物、性質 ce que bon leur semble自分によいと思うこと les combinaisons privés個人の計画 gêrer処理する au mieuxできるだけよく [訳] 国家の義務は何よりも先ずすべての人に対する保管の職責である。国家がこの安全を保障した各人は自己の所有物を自分がよいと思うようにすることができる。国家は個人の計画に介入すべきではない。自分の仕事をできるだけ自分の利益になるように処理するのは各人のなすべきことである。 |
2文目の「ce que bon leur semble」ですが、『新しい仏文解釈法』(山田原実著、島田実増訂、大学書林,1963)には、「関係代名詞queは昔は中性の主語としても用いられていた。その名残りが今でも特殊な場合に見られる。本例文の場合などがそうであるが、解りやすいためにはce qui bon leur semble.とすべきである。」と説明されています。
◯今日の要点をもう一度書きますと、
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C’est à~à不定法 「何々しなければならないのは~である」 |
今日は以上です。
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