『仏文和訳法』を読む(例文89)
山田原実 著『仏文和訳法』,大学書林,1949. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1704262
を読んでいます。
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第一章 主語 3. 主語の反復と省略 (イ)主語の反復 主語と動詞の間に長い主語の形容語句などが介在していて、主語と動詞があまりに離れている時に、その繋がりの曖昧を避けるために主語が繰り返されることがある。 |
前回までは↑の「主語の反復」を見てきました。
今回から2回に亘って「主語の省略」を見ていきます。
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(ロ)主語の省略 命令文を除くほかは、文の主語が省略されることはほとんどないのであるが、次のごとき特殊な非人称的な言い方においては主語が省略される。 Semble~ (Il semble~の略)「~ようだ」 |
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[例文89] Nous ne supporterions guère d’entendre un étranger dire que nos chemins de fer ou nos fromages sont inférieurs à ceux de son pays ; mais semble naturel à beaucoup d’entre nous de penser et de reconnaître que « notre littérature moderne est inintelligible » ou que depuis cinquante ans on n’a rien fait qui puisse se comparer aux choses de jadis. [語句] supporter 辛抱する le fromage チーズ inintelligible 理解できない(intelligent「智慧のある、才のある」 inintelligent「無智な」等と混同すべからず) se comparer à~ ~に比較される、~と比肩し得る
[訳] われわれは外国人が我が国の鉄道やチーズが彼の国の鉄道やチーズより劣っているのを聞くことには辛抱することができない。しかしわれわれの中の多くの人にとっては、我が国の現代文学は理解できないものであるとか、または50年以来昔のものに比肩し得るようなものは何もつくられなかったとかいうことを考えたり、認めたりすることは当たり前のことのようである。 |
◯語句補足
・supporter1 /sypɔrte スュポルテ/ [他動]
➊ …を我慢する,堪え忍ぶ,甘受する.
supporter la faim|飢えを堪え忍ぶ
supporter un affront|侮辱にじっと耐える
Je ne supporte pas le bruit.|騒音に耐えられない
Je ne peux pas supporter ce type-là. (=sentir)|あいつには我慢できない.
⸨多く否定的表現で⸩ supporter ⌈de+不定詞[que+接続法]|
Il ne supporte pas ⌈d'être contredit [qu'on le contredise].|彼は反対されることが我慢できない.
・〈Il (me, te, ...) semble+形容詞 ⌈de+不定詞 [que ...]〉…は…のようである,のように私[君,…]には思われる.注主節が否定・不確実のニュアンスを表わすとき que 以下は接続法.
Il me semble inutile de revenir là-dessus.|いまさらそれを蒸し返しても仕方ないだろう
Il nous semble superflu que vous reveniez.|もう一度御足労願うこともないと思います
『プログレッシブ仏和辞典』
◯今日の要点
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(ロ)主語の省略 命令文を除くほかは、文の主語が省略されることはほとんどないのであるが、次のごとき特殊な非人称的な言い方においては主語が省略される。 Semble~ (Il semble~の略)「~ようだ」 |
今日は以上です。
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