2024年11月30日土曜日

例文134

 

『仏文和訳法』を読む(例文134

 

山田原実 著『仏文和訳法』,大学書林,1949. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1704262

を読んでいます。

 

第三章

2. de + 形容詞

Autre chose, en, grand’chose, personne, peu de chose, quelque chose, rien 等に付される形容詞は、常にde +形容詞の形をとる。

今回も↑の続きです。

 

例文134

Le grand journal trop riche et le grand journaliste trop fier pour se vendre sont des puissances qui n’ont point d’analogues dans l’État démocratique, parce qu’il n’y en pas d’aussi indépendantes.

語句

troppour……あまりに~で……できない

analogue 類似の、(名)類似のもの

非常に富んでいて、またあまり自尊心が高くて身を売れない新聞や新聞記者は、民主主義の国家においては並ぶものが無いほど有力なものである。何となれば、これほど独立的なものはないから。

『新しい仏文解釈法』(山田原実著、島田実増訂、大学書林,1963

では、

「買収に応ずるにはあまりにも富裕である新聞や、あまりにも誇り高い新聞記者は、民主主義の国家にあっては、比肩するもののない勢力である。なぜなら、これほど自主独立の勢力はないからである。」と訳されています。

 

 

◯今日の要点

中性代名詞 en に形容詞がかかるとき、de を介するということを、もう一度辞書で確認しておきましょう。

 

en

[] 副詞的代名詞または中性代名詞と呼ばれ,〈de+名詞[代名詞,不定詞,節]〉の代わりをする

 

2 部分冠詞,複数不定冠詞などのついた名詞を受け,不特定の人,物を示す

部分冠詞,複数不定冠詞のついた直接目的語に代わる

Voulez-vous du pain? ―Non, merci, j'en ai encore.》|「パンはいかがですか」「いえ,まだありますから」

Et des disques, en avez-vous achetez?|それでレコードは買ったのですか(注複合時制の動詞の直接目的語となる場合,過去分詞は性数一致させない)

A-t-elle des poupées? ―Oui, elle en a de belles.》|「彼女は人形を持っていますか」「はい,きれいなのを持っています」en を修飾する形容詞は en の受ける名詞の性数に応じて変化し,de を先立てる)

『プログレッシブ仏和辞典』

 

puissance 勢力 は女性名詞で、他にはこれほど独立的なpuissances(常識的に複数を想定)はない、といいたいので、

 

parce qu’il n’y en pas d’aussi indépendantes.

 

en は女性複数に相当しています。それに連動してd’aussi indépendantesも女性複数形になっています。

 

 

◯蛇足 以下は蛇足ですので読む必要はありません。

 

 

2. de + 形容詞

Autre chose, en, grandchose, personne, peu de chose, quelque chose, rien 等に付される形容詞は、常にde +形容詞の形をとる。

↑のように書かれていますが、例題132134では、quelque chose en が扱われていました。それ以外も見ておきましょう。

 

Autre chose (de, que), quelque chose (de), peu de chose (de), (pas) grand-chose (de).

 

Ces expressions entraînent l'accord de l'adjectif ou du participe au masculin singulier : c'est autre chose que j'ai dit ; quelque chose de convaincant ; pas grand-chose de bon.

 

https://www.larousse.fr/dictionnaires/francais/chose/15712

↑で

autre chose, grande-chose, peu de chose に形容詞が付くときは、de +形容詞の男性形になることが解ります。

 

personneについては

personne déplaisante 感じの悪い人嫌なやつ

personne dépravée 性倒錯者

personne détestée de tous 皆からの嫌われ者

3例とも『ロベール仏和大辞典』

から、名詞personne()にはde を介さず直接、形容詞・過去分詞の女性形が付きます。

しかし、不定代名詞のときは

 

Il n'y a personne de blessé.けがをした人は一人もいない

『プログレッシブ仏和辞典』hommeの項

 

personne de形容詞男性単数形

Je ne connais personne de plus gentil que cette fille.彼女ほど優しい娘はいない

Personne d'autre que vous n'est venu hier.昨日はあなたのほかにはだれも来なかった

『プログレッシブ仏和辞典』personneの項

 

のように、personne de+形容詞・過去分詞の男性形が付きます。

 

 

 

今日は以上です。

 

2024年11月28日木曜日

例文133

 

『仏文和訳法』を読む(例文133

 

山田原実 著『仏文和訳法』,大学書林,1949. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1704262

を読んでいます。

 

第三章

2. de + 形容詞

Autre chose, en, grand’chose, personne, peu de chose, quelque chose, rien 等に付される形容詞は、常にde +形容詞の形をとる。

今回も↑の続きです。

 

例文133

Il y a des esprits qui vont à l’erreur par toutes les vérités ; il en est de plus heureux qui vont aux grandes vérités par toutes les erreurs.

語句

aller àpar… ...を通って~へ行く

[訳]

すべての真理を通って誤謬に到達する人々もあるし、すべての誤謬を通って偉大なる真理に達する、より幸福な人々もある。

 

今日の要点

中性代名詞 en に形容詞がかかるとき、de を介するということを辞書で確認しておきましょう。

en

[] 副詞的代名詞または中性代名詞と呼ばれ,〈de+名詞[代名詞,不定詞,節]〉の代わりをする

 

2 部分冠詞,複数不定冠詞などのついた名詞を受け,不特定の人,物を示す

部分冠詞,複数不定冠詞のついた直接目的語に代わる

Voulez-vous du pain? ―Non, merci, j'en ai encore.》|「パンはいかがですか」「いえ,まだありますから」

Et des disques, en avez-vous achetez(sic)?|それでレコードは買ったのですか(注複合時制の動詞の直接目的語となる場合,過去分詞は性数一致させない)

A-t-elle des poupées? ―Oui, elle en a de belles.》|「彼女は人形を持っていますか」「はい,きれいなのを持っています」(en を修飾する形容詞は en の受ける名詞の性数に応じて変化し,de を先立てる)

『プログレッシブ仏和辞典』

 

en を修飾する形容詞は en の受ける名詞の性数に応じて変化し,de を先立てる」ということですから、

[例文133

il en est de plus heureux  の部分の heureux は、enが受けているesprits が男性・複数なので、heureux も男性複数形ということになります。

 

◯蛇足 以下は蛇足なので読む必要はありません。

 

en については『ロベール仏和大辞典』に以下のような説明があります。

[]en が複合時制の動詞の直接目的語となる場合,en が受けている直接目的語の性数に過去分詞を一致させるか否かは自由であるが,一般には一致させない.また,en を修飾する形容詞は en の受ける名詞の性数に応じて変化し,de を先立てる(例:《A-t-elle des poupées? ―Oui, elle en a de belles.》「彼女は人形を持っていますか」「はい,きれいなのを持っています」《Avez-vous des ennuis? ―J'en ai de très graves.》「何か厄介事があるのですか」「大変な厄介事があるのです」)

 

en が複合時制の動詞の直接目的語となる場合,en が受けている直接目的語の性数に過去分詞を一致させるか否かは自由であるが,一般には一致させない.」の説明の部分に当てはまる例文として

 

Combien avez-vous fait de tartes? ―J'en ai fait trois.

「タルトをいくつ作りましたか」「3つ作りました」

が挙げられています。

この例文の過去分詞はfaites ではなく、fait なので、enが受けている直接目的語 tardes(女性名詞複数)とは性数が一致していません。

 

まとめると、enの後に置かれた過去分詞は性数に一致しないが、de+形容詞は一致するということです。

 

今日は以上です。

例文305

  『仏文和訳法』を読む(例文 305 )   山田原実先生 著『仏文和訳法』 , 大学書林 ,1949. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1704262 を読んでいます。   第八章 ...