2025年1月12日日曜日

例文155

 

『仏文和訳法』を読む(例文155

 

山田原実 著『仏文和訳法』,大学書林,1949. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1704262

を読んでいます。

 

第四章 比較語句

1. 比較語句と比較の対象

[附]最上級の対照 最上級の対照、すなわち「⋯⋯の中で一番~」の「⋯⋯の中で」は、一般に前置詞deを選考させて、de⋯⋯の形で表し、最上級を示す語の後に置かれるものである。しかしながら次

ぎの如き場合には、対照が最上級を表す語の前に置かれているから注意を要する。

(イ)対照を強調する場合 この場合は文頭に置かれる。

(ロ)A de B+最上級を表す形容語句 その最上級を有するもの「A」が、その対照「B」の一部分または所属物である場合は、この形が現れることがある。

(ハ)celui de A+最上級を表す形容語句 これも前項と同じく対照「A」が前に出ていて、「Aの中で一番~なもの(または人)」と訳すべき形式である。

前回まではを見てきました。

 

今日は(ニ)に入ります。

(ニ) 意義上対照が関係代名詞文で表される場合 すなわち前述の如き場合をのぞいて、最上級に関係代名詞文が続く場合、意義上この関係代名詞文を最上級の対照の如く訳さねばならない。

 

例文155

C’est le plus grand homme que je connaisse.

[訳]

あの人は私の知っている偉人の中で一番偉い偉人だ。

 

◯今日の要点

今日の要点は、

原文の中には、「~の中で」という意味を表す語はないのですが、

意味の上で、「私の知っている偉人の中で」と「中で」を付けて考えなければならない=訳さなければならない、ということです。

 

定冠詞...que, quisubj.した中で最も

C'est le plus beau paysage que j'aie jamais vu.

これは私がかつて見た中で最も美しい風景だ.

『ロベール仏和大辞典』

「最上級が含む仮想のニュアンスを示すために形容詞節中には接続法を用いる」(『現代フランス広文典』)なのはご存知の通りです。

 

今日は以上です。

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