2025年1月20日月曜日

例文159

 

『仏文和訳法』を読む(例文159

 

山田原実 著『仏文和訳法』,大学書林,1949. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1704262

を読んでいます。

 

第四章 比較語句

1. 比較語句と比較の対象

 

 

Plus … que ; moins que … が「~よりはむしろ」を意味する場合

 

今回もの続きです。

 

例文159

Désormais les grands, ayant moins de souci d’imposer que de plaire, se dépouillent de la morgue comme d’un costume gênant et ridicule, et recherchent moins les respects que les applaudissements.

 

語句

les grands 高貴の人達

avoir souci de~ ~を気にかける

imposer [自働]他人を畏圧する

plaire 他人の気にいる (plaire à qn. ある人を喜ばす)

se dépouiller de~ ~を脱ぐ

la morgue 尊大な風

gênant 窮屈な、厄介な

l’applaudissement 喝采、称賛

 

以後は、高貴の人達は、他人を畏圧することよりも寧ろ他人の気にいることを気にかけて、窮屈な滑稽な服装と共に横柄な風をも棄て、人の尊敬よりは寧ろ人の称賛を求める。

 

◯語句補足

[語句]では、imposer [自働]他人を畏圧する となっていますが、

現在の辞書・参考書では「間接他動詞」と分類されています。

━[間他動] en imposer (à qn)畏敬(いけい)畏怖の念を抱かせる

Son courage en impose.あの人の勇気には敬服させられる

s'en laisser imposer

『プログレッシブ仏和辞典』

 

se dépouillent de la morgue comme d’un costume gênant et ridicule

 「窮屈な滑稽な服装と共に横柄な風をも棄て」の部分は、

 『新しい仏文解釈法』山田原実著、島田実増訂、大学書林,1963)では、

「あだかも窮屈で滑稽な服装でも脱ぐようにその横柄な風を棄て」

と訳されています。

 

 

◯今日の要点

 

[例文159

ayant moins de souci d’imposer que de plaire

recherchent moins les respects que les applaudissements

は、それぞれ直訳すると、

「他人の気にいることより他人を畏圧することを少なく気にかけて」

「人の称賛より少なく人の尊敬を求める」というようになりますが、

より日本語として自然に

「他人を畏圧することよりも寧ろ他人の気にいることを気にかけて」

「人の尊敬よりは寧ろ人の称賛を求める」

と訳す、というのが今日の要点です。

 

今日は以上です。

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