『仏文和訳法』を読む(例文206)
山田原実 著『仏文和訳法』,大学書林,1949. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1704262
を読んでいます。
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第五章 否定語句 N’avoir que faire de ~ 「ちっとも~の必要がない」 |
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[例文206]
[語句] l’appétit 欲望 instinctif 本能的の arbitrairement 専断的に(arbitral「仲裁の」と混同すべからず) se passer de~ ~なしで済ませる ( se passer à~「~に甘んじる」と混同すべからず) l’aménagement 処理
[訳] 人々は往々、専断的に、人間が学問に対する本能的欲求をもっていると言っているけれども、人間は本来そんなものをもっておらない。人間は、経験が彼らに学問なしで済ませることができないということを教える程度においてのみ学問を欲するのである。しかして、彼ら個人的生活の処理に関することについては、人間はちっとも学問の必要がないのである。すでにルソーが言ったように、生活上の必要を満足さすためには、ちょうどそれが動物にとって十分であるように、感覚・経験・本能だけで十分であり得るのだ。 |
◯訳補足
最後の2文ですが、
「しかして、彼ら個人的生活の処理に関することについては、人間はちっとも学問の必要がなかったのである。すでにルソーが言ったように、生活上の必要を満足さすためには、ちょうどそれが動物にとって十分であるように、感覚・経験・本能だけで十分であり得たのだ。」と、過去形を活かして訳した方がいいのではないでしょうか。
◯今日の要点
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N’avoir que faire de ~ 「ちっとも~の必要がない」 |
辞書で確認しておきましょう。引用は前回と同じです。
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N'avoir que faire de quelque chose, ne pas s'en soucier ou ne pas en avoir besoin. (ラルース) ◆N'avoir que faire de, n'avoir aucun besoin de. Il n'a que faire de tous ces costumes (ロベール) ---------------------------------------------------------------------------------------- n'avoir que faire de qn/qc ⸨文章⸩ …を必要としない,気にかけない. Je n'ai que faire de ses compliments.|あの人のお世辞など聞きたくもない. 『プログレッシブ仏和辞典』 |
今日は以上です。
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