『仏文和訳法』を読む(例文286)
山田原実先生 著『仏文和訳法』,大学書林,1949. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1704262
を読んでいます。
|
第八章 譲歩語句 Pour~「~であるとはいえ」 [注意]pour~が「~であるとはいえ」という譲歩的な意味を持つばあいは、pour~が「やはり何々」「とはいえ何々」という様な意味を持つ句を関連する時に限られる。 |
|
[例文286] En chacun de nous, il existe deux êtres qui, pour être inséparables autrement que par abstraction, ne laissent pas d’être distincts. L’un est fait de tous les états mentaux qui ne se rapportent qu’à nous-mêmes et aux événements de notre vie personnelle. L’autre est un système d’idée, de sentiments et d’habitudes qui expriment en nous, non pas notre personnalité, mais le groupe ou les groupes différents dont nous faisons partie.
[語句] ne pas laisser de~(不定法) ~する、それでもやはり~する se rapporter à~ ~に関係する faire partie de~ ~に関与する
[訳] 我々は各自の中に二つのものを持っている。それは抽象的にでなければ分かつことができないとはいえ、それでもやはり別々のものである。一つは我々自身や我々の個人的生活の諸種の出来事にのみ関係しる総ての心的状態からできている。他は、我々において、我々の個性ではなく、我々が関与している団体を表す思想、感情、慣習の形式である。
[註] Ne pas laisser de (またはque de)+不定法は「何々する」「やはり何々する」という肯定の意であるから注意を要する。
|
『新しい仏文解釈法』(山田原実著、島田実増訂、大学書林,1963)では、
「われわれ各自の中には二つの人間が存在している。それは抽象的でなければ分つことができないとはいえ、それでもやはり別々のものである。一つはわれわれ自身やわれわれの個人的生活の諸種の出来事にのみ関係する総ての心的状態から出来ている。他は、我々において、われわれの個性ではなく、われわれが属している団体を表す思想、感情、慣習の体系である。」と訳されています。
〇語句補足
|
ne pas laisser de+不定詞 ⸨文章⸩ (それでもやはり)…し続ける. Malgré leur dispute, elles ne laissent pas d'être amies.|喧嘩(けんか)もするが彼女たちはやはり友達同士だ. 『プログレッシブ仏和辞典』 |
〇今日の要点
|
Pour~「~であるとはいえ」 |
前回とは違う辞書で確認しておきましょう。
|
Pour prép. ((譲歩))…であるにもかかわらず(*主文は否定形) Vous n'avez guère bruni pour avoir passé vos vacances au soleil.日光に当たって休暇を過ごしたにしてはちっとも焼けていないね Pour être riche, il n'en est pas plus heureux.彼は金持ちだが幸福ではない 『ロワイヤル仏和中辞典』 |
今日は以上です。
0 件のコメント:
コメントを投稿