徳尾俊彦先生『仏文解釈法 類語編』、白水社、1929、国立国会図書館デジタルコレクションhttps://dl.ndl.go.jp/pid/1146345 を読んでいます。
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Ⅱ.同じ語根をもつSYONONYMES (1) 名詞の単数―複数 l’homme, les hommes (1)L’homme est mortel. Les hommes sont mortels.人は死ぬべきものである。 この文で、単数のものは、人間全体の死の確実なことを示し、説教や教戒などで原則として述べ得ることである。 複数のものは、死の時期、方法の不確実なことを示し、ある者は早くある者は遅く死し、またある者は頓死しある者は長患いの後死する意をもつ。したがって説教などでは、差し当たり適当な注意を取らしむるために、述べ得る文句である。 |
総称の定冠詞 le とlesの説明として、島岡茂先生『フランス語統辞論』(1999、大学書林)から引用します。
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Le chien est un animal fidèle.「犬は忠実な動物である。」 このle chienは「その犬」ではない。この定冠詞はラテン語の指示代名詞ille「それ」から出たもので「(犬という)もの」を意味する。「その」ではなく「それ」であり、ce qu’on appelle chienの意味をもつ。言わば代名詞的に用いられた定冠詞である。 しかし「犬というものは」われわれの目にふれる生きた犬ではない。それはそれぞれの犬の特性を抽象し、すべてに共通する属性だけを具えた「犬」であり、言わば「犬」の原型である。人はこの原型によって、いくらでも任意に犬の姿を心に描くことができる。 2. les つぎに同じ総称でも複数形lesであらわすばあいをみよう。この形は名詞概念を個別的・非連続的に把握するときに使用される。les chiens はle chienとちがって複数のメンバーを含む。それが形成する集合は一元的ではなく、内在複数の観念を含み、分割可能である。種属を統一的に促える(ママ、「捉える」の誤りか)leは抽象的だが、その種族を構成する個体individuの総称(ママ、「総体」の誤りか)をあらわすlesはより具象的である。le chienは「犬というもの」に共通属性に重きをおくが、les chiensはそうした抽象的属性よりも、個々の「犬」の集合を重視し、つぎのジードの引用はこの差をよくあらわしている。 L’homme est plus intéressant que les hommes. (Gide) これは本質的に考えた人間(l’homme)の方が、そこいらの人間ども(les hommes)より興味があるという意味で、2つの総称の意味の差がよくあらわれている。 (島岡茂『フランス語統辞論』、1999、大学書林、161頁) |
↑のジードの文の類例を挙げます。
Raymond Aron (Paris 1905-Paris
1983)
L'homme est un être raisonnable, mais les hommes le sont-ils ?
Dimensions de la conscience historique, Plon
https://www.larousse.fr/dictionnaires/francais/homme/40240
[単数と複数の対比]
L'homme est un être raisonnable, mais les hommes le sont-ils ?
(試訳)人間というものには思慮分別がある。しかし、すべての人間がそうであるだろうか。
[単数だけの例]
L’homme ne peut pas vivre de pain seulement, mais de toute parole que Dieu prononce.
人はパンだけで生きるものではない。
神の口から出る一つ一つの言葉で生きる
(新共同訳、マタイによる福音書、4章4節)
今日は以上です。
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