2025年12月1日月曜日

001

 

徳尾俊彦先生『仏文解釈法 類語編』、白水社、1929、国立国会図書館デジタルコレクションhttps://dl.ndl.go.jp/pid/1146345 を読んでいます。

001

.同じ語根をもつSYONONYMES

(1) 名詞の単数―複数

l’homme, les hommes

1)L’homme est mortel. Les hommes sont mortels.人は死ぬべきものである。

 この文で、単数のものは、人間全体の死の確実なことを示し、説教や教戒などで原則として述べ得ることである。

 複数のものは、死の時期、方法の不確実なことを示し、ある者は早くある者は遅く死し、またある者は頓死しある者は長患いの後死する意をもつ。したがって説教などでは、差し当たり適当な注意を取らしむるために、述べ得る文句である。

 

総称の定冠詞 le lesの説明として、島岡茂先生『フランス語統辞論』(1999、大学書林)から引用します。

Le chien est un animal fidèle.「犬は忠実な動物である。」

 このle chienは「その犬」ではない。この定冠詞はラテン語の指示代名詞ille「それ」から出たもので「(犬という)もの」を意味する。「その」ではなく「それ」であり、ce qu’on appelle chienの意味をもつ。言わば代名詞的に用いられた定冠詞である。

 しかし「犬というものは」われわれの目にふれる生きた犬ではない。それはそれぞれの犬の特性を抽象し、すべてに共通する属性だけを具えた「犬」であり、言わば「犬」の原型である。人はこの原型によって、いくらでも任意に犬の姿を心に描くことができる。

2. les

 つぎに同じ総称でも複数形lesであらわすばあいをみよう。この形は名詞概念を個別的・非連続的に把握するときに使用される。les chiens le chienとちがって複数のメンバーを含む。それが形成する集合は一元的ではなく、内在複数の観念を含み、分割可能である。種属を統一的に促える(ママ、「捉える」の誤りか)leは抽象的だが、その種族を構成する個体individuの総称(ママ、「総体」の誤りか)をあらわすlesはより具象的である。le chienは「犬というもの」に共通属性に重きをおくが、les chiensはそうした抽象的属性よりも、個々の「犬」の集合を重視し、つぎのジードの引用はこの差をよくあらわしている。

 L’homme est plus intéressant que les hommes. (Gide)

 これは本質的に考えた人間(l’homme)の方が、そこいらの人間ども(les hommes)より興味があるという意味で、2つの総称の意味の差がよくあらわれている。

(島岡茂『フランス語統辞論』、1999、大学書林、161頁)

 

↑のジードの文の類例を挙げます。

Raymond Aron (Paris 1905-Paris 1983)
L'homme est un être raisonnable, mais les hommes le sont-ils ?
Dimensions de la conscience historique, Plon

https://www.larousse.fr/dictionnaires/francais/homme/40240

 

[単数と複数の対比] 

L'homme est un être raisonnable, mais les hommes le sont-ils ?
(試訳)人間というものには思慮分別がある。しかし、すべての人間がそうであるだろうか。

 

[単数だけの例] 

L’homme ne peut pas vivre de pain seulement, mais de toute parole que Dieu prononce.

人はパンだけで生きるものではない。

神の口から出る一つ一つの言葉で生きる

(新共同訳、マタイによる福音書、44節)


今日は以上です。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

022

   徳尾俊彦先生『仏文解釈法 類語編』、白水社、 1929 、国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1146345  を読んでいます。 022 回   前回に引き続き「Ⅱ . 同じ語根をもつ SYONONYMES 」です。 ...